ただの狂気ではない。ジョーカーは実在する。映画レビュー『ジョーカー』
(画像:©Joker/Warner Bros. Entertainment Inc.)
『ジョーカー』
今までに類を見ない盛り上がりを見せている映画『ジョーカー』。
YouTubeに予告動画が公開された時からメチャクチャ話題になってましたからね〜。私も公開される日を楽しみにしていました!
はたしてこの膨れ上がった期待に応えることができるのか、いざ見てみると…
いや、マジか…笑。これは凄いとしか言いようがありません。主演のホアキンはジョーカーを完璧に演じていました。
ストーリー&キャラクター
ストーリー
アーサーフレックは母親を介護しながら貧しい生活を送っていた。ピエロとして働くもある持病により上手くいかない日々。自分が存在してるかも怪しい状況を不安に思っていた。ある日、3人の男にからまれ、怒りが限界を迎えたアーサーはそれらを撃ち殺してしまう…。
キャラクター
(画像:©Joker/Warner Bros. Entertainment Inc.)
アーサー・フレック
脳の異常により笑いを制御できないが、根は優しい男。
ゴッサムシティ
皆さんご存知(でもない)ゴッサムシティはバットマンのテリトリーとして有名。
彼の宿敵ジョーカーの映画なのでもちろん舞台は同じです。
いつにも増して治安が悪いこの街、清掃員はストライキして働かず、子ども達は犯罪に走る。文字通り「ゴミ」で溢れています。
しかし、そこには現代にも通じる
経済格差の問題
が隠れているのです。
警告
格差問題は今アメリカで最もホットな話題の一つ、当然ゴッサムシティはアメリカをモチーフにしています。共通点も多いです。
アーサーの元に来るセラピストの女性はいつも同じ質問ばかり。アーサーの話を聞こうともしません。
やっと聞く気になったのは暴動が起こった後。ジョークを思いついたと言うジョーカーにどんなジョークか尋ねるが「どうせ理解できない」と一蹴されます。
今さら手遅れだということでしょう。
こうなる前に市民の声を聞けというアメリカ社会への強い警告が見て取れます。
日本での人気の意味
貧富の差が激しいアメリカでこの映画が受けるのも無理はありません。
ただ一つ私の予想外だったのが、
日本でも大いに受けている
点です。
そう、
日本にもかなり貧富の差があるのをご存知ですか?
どこか他国の問題と感じていた自分は何も分かってなかったんだと痛感しました。
まあ、ただエンターテイメントとして受けてるのもあるとは思いますが。
この映画には日本でも通じるメッセージがあることを心においてください。何も知らず見ている人達よりは映画を楽しめるはずです。
子ども
アーサーがウェイン宅を訪れると、そこには一人の子どもがいます。
名前はブルース、
彼がのちのバットマンです。
今作はアメコミファンではない層の方々も注目しているのでここに書きます。
一種のファンサービスですね。知っているとより映画を楽しめるでしょう。
(画像:©Joker/Warner Bros. Entertainment Inc.)
ジョーカイズム
序盤、心優しいアーサーの振る舞いはとてもジョーカーには見えませんでした。しかしそれらは彼がジョーカーへと変貌した瞬間ガラリと変わります。
ある中盤のシーン、ジョーカーを追っていた警官が集団リンチにあいます。
それを見たジョーカーは目の前でニコニコ、ステップを踏んで去っていく。
これを見た瞬間私は
「彼はジョーカーだ。」
と納得してしまいました。
これを私は勝手にジョーカイズムと呼んでいます笑。
彼の目的は「人を不幸な目に合わせる」ことではなく
「人が不幸な目にあっているのを笑いにする」
こと。
彼の思考回路自体が、不幸な事 = 面白い事となっているのでしょう。
ジョーカーは気づきます「悲劇だと思っていたのは実は喜劇だった」と。それこそがコメディなのだと。
狂っているように見えますか?
でも、
私たちもそうですよね?
テレビで熱湯に落とされた人を見て笑っていませんか?
大人気のコメディアン、マーレーも上品な笑いをモットーにしてはいますが、やっている事は下階級の人達をバカにした笑い。とても下品です。
こうやって見てるとジョーカーの言ってる事はあながち間違いじゃないように聞こえません?
ある意味核心をついているようにもみえますよね。
(画像:©Joker/Warner Bros. Entertainment Inc.)
階段
アーサーの家へ続く階段、それまではのぼるところしか映像で流れませんでした。しかし中盤でアーサーがジョーカーに変貌し、そこから初めて降りてくるシーンが流れるわけですが、
一言言って最高です笑。
(画像:©Joker/Warner Bros. Entertainment Inc.)
おわりに
こう言ってはなんですがジョーカーメチャクチャカッコ良かったです笑。こんなイカれた人がなぜこんなにも魅力的なのでしょうか笑。
さらに言うとこの映画、最後まで見ると何が本当なのかが分からなくなってしまうように意図的につくられています。あの人は合ってるのか、間違っているのか、議論は絶えないでしょう。
見てから数日この映画のことばかり考えてしまう、そんな映画です!必見!!
(画像:©Joker/Warner Bros. Entertainment Inc.)