あなたの敵は「あなた自身」。映画『アス』感想多め&ちょい考察
(画像:©Us/Universal City Studios LLC)
『アス』
この前私の記事で紹介しました映画『アス』。
ジョーダンピール監督は前作が初監督作品にも関わらずアカデミー賞の脚本賞を受賞。世界の度肝を抜きました。個人的にもメチャクチャ楽しみにしてましたがいざ見てみると…
いやー怖かった!一人&レイトショーで見るんじゃなかったと後悔してます笑。帰り道、後ろに何かいるのではと何度も振り返りました笑。
注意!!
この記事の後半で重大なネタバレをしています。ネタバレに入る直前で警告しますが、あらかじめご了承ください。
ストーリー&キャラクター
ストーリー
アデレードは子どもの頃、自分と全く同じ顔をした少女に出会い、それがトラウマとなってしまう。それでもいつしか家族ができ、平和に過ごしていた。ある夏の夜、アデレードの元に四つの人影が現れる。それらはなんと自分たち家族と全く同じ顔をしたドッペルゲンガー、「私たち(Us)」だった…。
(画像:©Us/Universal City Studios LLC)
キャラクター
アデレード・ウィルソン
(画像:©Us/Universal City Studios LLC)
トラウマが原因で子どもの頃は口が聞けない子どもだった。大人になるに連れ回復していったが、ある一つの思いは変わらずに残っていた。
「いつか必ず、あいつは私たちの前に現れる。」
レッド
(画像:©Us/Universal City Studios LLC)
ドッペルゲンガーたちを従えるアデレードと同じ顔をした女性。過去にアデレードが出会ったもう一人のアデレードが成長した姿。ドッペルゲンガーの中で唯一言葉を発する。
怖い
もうね、シンプルに怖いんですよ笑。演出、音楽、役者の演技、全てが。
最も優れたとは言いませんが、私が見てきた中で最も怖いホラー映画であると断言します!
ということで個人的に怖かったところをご紹介。
ミラーハウス
まず最初のシーン。ここで子どもアデレードは迷子になってしまいます。
鏡に映るアデレードは全て同じ動きをするはずなのに、一つだけ背を向けて動かない影が…。
その時アデレードが目をカ〜ッて開くんですがそれがまたクソみたいに怖いです。
ハリウッドの子役、恐るべし…
(画像:©Us/Universal City Studios LLC)
ドッペルゲンガーの内、唯一言葉を話せるレッド。しかし、
喋り方があきらかにおかしい。
今までしゃべってこなかったからでしょうか、恐ろしいです。
(画像:©Us/Universal City Studios LLC)
対決
終盤でアデレードとレッドは一対一の殺し合いになるのですが、常にレッドが優勢でアデレードの攻撃はことごとく避けられてしまいます。
レッドの攻撃は正確にアデレードを傷つけ、彼女は今にも死んでしまいそう。
こちらは「えっ?勝つよね…!?彼女大丈夫だよね…!?」と終始気が気じゃありません。
ドッペルゲンガーの正体
ドッペルゲンガー達の正体は政府が実験で作ったクローンでした。
アメリカ中の地下には使われていない謎の空間があり、そこでクローン達は生活しています。
クローン達は地上の人間と同じように行動するようにできています。操り人形みたいなのもので、レッドは自らを「影」と呼んでいました。
地上の人間たちが笑顔で歩いたり、ご飯を食べている一方、地下のクローン達は真顔で壁に向かって歩き、うさぎの生肉を貪っていたのです。
このシーンの絵面はおぞましくてとても見てられませんでした。
ネタバレなし考察
この欄では重大なネタバレはしません。まだ映画を見てない方もどうぞご覧ください!
タイトルの意味
この映画のタイトルは『Us(アス)』。
これはダブルミーニングになっています。
「私たち」という意味の「Us」と、
アメリカという意味の「U.S.」。
映画の中でレッドが
「私たちはアメリカ人」
と言うシーンがあります。これを聞いて私が真っ先に頭をよぎったのは
ネイティブ・アメリカンの存在。
ネイティブ・アメリカンはアメリカの先住民。今のアメリカ人の大半は後からアメリカ大陸を侵略した人たちです。
ドッペルゲンガー達と似てませんか?
彼らはアメリカ中にいて、目的はいわゆる本物達と入れ替わること。後から現れ、侵略してきた者達がアメリカ人を名乗っているのです。
と、いうのが私の考察です。
しかし、ネットで最も言われているのは
アメリカの経済格差のメタファー
ですね。気づかないふりをしている、格差がなくなったように思い込み、本当の醜い自分を隠している。
本当の敵はあなた自身だということでしょうか。
詳しく知りたい方はぜひ調べてみてください!
(画像:©Us/Universal City Studios LLC)
感想
監督の前作『ゲットアウト』は何度もみたくなるような映画だった反面、これは二度とみたくなくなるようなとんでもねー映画でした笑。
ただ伏線だらけの映画なので2回目見るとまた違った発見もあるでしょうし、それを前提にした作りにもなっています。
はー、DVD出たらどうしようかな〜。
買おーーーーっと。
⚠️ネタバレ考察⚠️
ついにきました。この先、マジのネタバレ注意です。
ここまではまだこの後映画を見ても100%楽しめます。
この先は
予告動画を見たけどメチャクチャ気になる!ってほどではなかった。
とか
ネタバレ大いに結構!その後でも十分楽しめるよ!
という人のみ、進んでください。
アデレードとレッドは最初のミラーハウスで入れ替わっていた
という事実がなんと映画の最後に判明します。
まあ、途中から勘のいい人は気づいたかも知れませんが。
つまりクローンのアデレードが地上で両親の元に帰り、そのまま大人になるのです。子どもの頃喋れなかったのは彼女がクローンだから。
ちなみにレッドが地下にいたにも関わらず喋れたのはミラーハウスで入れ替わるまで地上にいたからです。
つまりこの映画は
レッド(本物のアデレード)の復讐劇だったのです。
しかしこの映画にあるのはネガティブなメッセージだけではありません。地下に閉じ込められていたクローンでも環境次第では普通の人間のように暮らせる、または自分の力で登り詰め、地上に出ることができる。
という現代人へのメッセージとも取れます。
ちなみに未公開シーンで入れ替わって地下に入ったアデレードが家族のクローンに出会うシーンがあるのですが、
トラウマものです。
「Us I wanna go home」と検索すると出てきますのでもし見るなら自己責任でお願いします。
そして息子のジェイソンも入れ替わってるのではという考察もあります。
よければ調べてみてください。